ガスは不要になるのか

先日ヨーロッパの網膜硝子体学会であるEuretinaに参加いたしました。

残念ながら今年は他の学会同様、バーチャル開催のみでしたが、Euretinaの醍醐味である膨大な発表者の数と、学会全体に感じられるスタイリッシュなデザイン性はそのままでした。

ASRSは参加費無料であったのに対して、Euretinaはメンバーであっても50ユーロ取られたことから、今後世界的な傾向として、バーチャルといえども、少しずつ参加費が値上がりしてくる可能性はありそうです。(AAOなどはかなり高いです)

さて内容についてですが、アメリカと同様にヨーロッパでも、新しい抗VEGF薬治療、遺伝子治療、AIや遠隔診療などが、新しいトピックとして散見されましたが、サージカル関連で気になったのはガスタンポナーデを使用しない黄斑円孔手術の発表でした。

こちらはProspective studyで、黄斑円孔の上にInverted ILM flapをかぶせた後に、空気置換は行わなかったものの、ほぼ全例で閉鎖が得られたようです。残念ながら空気置換を行った群との比較試験ではないこと、症例数が20例程度と少ないため、さらなる検討は必要ですが、2017年に類似の報告(こちらはRetrospective)がRetinaでも発表されており、今後本当にガスが要らなくなる可能性も出てきました。

ガスがいらなくなることで体位制限が不要になり、飛行機にも乗れますし、患者負担が減らせることが期待されます。さらなる研究結果が待ち遠しいです。

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