眼圧はどうする?
世界中でコロナウィルスが拡がる中、変わらず診療に従事されている全国の先生方、お疲れ様です。
とうとうアメリカでも患者制限や面会禁止の措置が始まりました。オンラインでのカンファレンスやウェブを利用した診療など、病院でもIT技術を活用して対応しています。もともとVitnetはインターネットの特性を活かして組織されたグループなので、影響は少ないですが、このような異常事態にこそ、利点を活かして皆様との繋がりを大切にしていきたいと思います。VitQBでは引き続き手術への質問を受け付けていますし、こちらのブログでも有用な情報をできるだけ提供させていただきたいと思います。
さて本日は眼圧の話です。硝子体手術は眼科手術の中でも、特に術中の眼圧調整が必要な手術と言えるでしょう。低くし過ぎると、虚脱し駆逐性出血のリスクがありますし、高すぎると動脈閉塞や緑内障のリスクがあるため、適切な眼圧をキープする必要があります。以前のようにボトルの高さで眼圧調整をしていた時代は、特に気を付ける必要があり、インフュージョンの径も考慮しなければなりませんでした(例:20ゲージでは30mmHgに対して、25ゲージでは40mmHg程度)。最近はIOP compensationなど機械が眼圧をモニターしつつ調節してくれる機能のお蔭で、比較的低眼圧の設定でも手術できるようになっています。
一方、染色剤を効率良く吸引したり、止血のために一時的に眼圧を上げることは有用ですが、どのくらいの眼圧を、どれくらいの時間維持してよいのか、ということに明確なエビデンスはなさそうです。知る限りでは、80mmHgの高眼圧を30分以上続けると網膜障害が起こることは動物実験で示されていますが、実際には60mmHg程度の眼圧を短時間維持する事が多く、網膜への影響は不明です。
様々な術者の設定値を観察していると、最新の手術機械では25-35mmHgあたりが、標準的な所と思われます。先生方はどのくらいの設定値で手術されていますか?緑内障患者等では低く設定していますか?安全で効率的な手術のためにも眼圧のコントロールは重要だと考えております。
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