伸ばす
先日アメリカのASRSが主催する網膜硝子体手術合併症セミナーが開催されました。
パネリストにはYoshi Yonekawa先生やJay Sridhar先生など、我々と比較的世代が近く、勢いのある若手サージャン達が登壇され、非常に白熱したディスカッションが展開されていました。
セミナー自体は世界各国の網膜サージャンやフェロー達から投稿された症例に対して、皆でディスカッションをするという症例カンファレンスに近いものでしたが、重症PVRや、PFVに伴う網膜剥離の症例など、日常診療では目にすることの少ない症例も多く、内容の濃い1時間でした。
中でも巨大裂孔に伴う網膜剥離の症例呈示で、有用なtipsが紹介されていたので、こちらでシェアさせていただきます。
症例はGRTに対する硝子体手術後、重度の皺襞を黄斑部へ生じ、治療として網膜下へBSSを注入することで皺襞が伸びた、というものです。
ポイントとして、このような皺襞は軽度であれば自然軽快もありうるので、まず経過観察をすること、また重度の場合は網膜下注入が必要になりますが、まずは4psiなど弱い注入圧で開始すること、注入前に眼外で目視による流量確認をすること、中心窩に水流をふきつけると、RPEへのダメージが危惧されるので、黄斑周囲から注入開始すること、などが紹介されていました。
これらは経験のある術者にとっては常識的なことかもしれませんが、フェローのような若手術者を指導するにあたって重要なポイントであり、非常に参考になりました。
機会があれば、今後硝子体手術クエスチョンバンクでも取り上げさせていただきたいと思います。
お楽しみに!
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