硝子体手術後、飛行機に乗れるか?
硝子体手術で眼内にガスを注入した場合、完全にガスが消失するまで飛行機に乗ることはできません。
たとえそれが登山であっても、気圧の変化によりガスが眼内で1.5〜2倍にまで膨張する可能性があり、眼圧上昇のリスクを伴います。飛行機へ搭乗することがかなり危険であるのは、想像に難くありません。
よって我々眼科医は、どうしても術後すぐに飛行機に乗る必要のある患者さんに対しては、シリコンオイルを選択しているわけです。
ただしシリコンオイルの欠点として眼圧上昇リスクがあること、抜去するためにもう一度手術を行わなければならないこと、などがネックでした。
近年その常識を覆す研究がアメリカBostonのDr. Stefaterらのグループによって発表されました。
以前こちらのブログでも紹介させていただきましたが、2週間で自然に分解され抜去の必要がない新たなタンポナーデ物質の開発です。こちらは気圧の影響も受けないため、術後飛行機に乗ることも問題ないようです。
いよいよこちらの治験がオーストラリアで開始されたと、先日のVBS meetingで発表がありました。
臨床上のタンポナーデ効果についてはこれから検証が必要ですが、もし認可されれば、網膜剥離の手術後も気にせず普段通りの生活ができる可能性があり、より患者負担の少ない、低侵襲な手術が実現できるかもしれません。
今後の結果に期待したいところです。
0コメント