縫着は過去の遺物か?
先日米国Vit-Buckle Society主催の症例検討会へ参加致しました。
テーマは眼内レンズ偏位に対する手術です。
参加してみて、現在の米国における傾向が予想外だったので、こちらでシェアさせていただきます。
日本ではかつて眼内レンズ縫着術が主流の治療法でしたが、近年強膜内固定術が普及し、特にフランジ法に関しては、海外ではYamane techniqueと称される程に世界的に認知されてきました。
フランジ法の利点は、強膜フラップを作成する必要がなく、濾過手術後など結膜を温存したい症例に対しても有効であることが、挙げられると思います。
そこでフランジ法の対抗馬?として挙げられているのが、Gore-Texを使用した縫着法です。こちらはIOLに付属した4つの孔にGore-Tex糸を通し、sclerotomyから引き出した後、断端同士を結紮する方法です。一部結膜を切開する必要はありますが、強膜フラップ作成の必要はなく、 フランジ法と同様に、簡便で侵襲の少ない方法とされています。
意外だったのは、今回の検討会ではかなりGore-Tex法を採用している術者が多かったことです。比率はフランジ法と同程度でした。
理由としては、フランジ法は傾き補正が難しいことや、術後rotationのリスクが挙げられていました。ただ米国では使用されるIOLが本邦とは異なり、ZeissのCT Luciaというレンズが主流であること、30ゲージ針のみならず27ゲージトロカールを使用したフランジ法が普及していることなどから、術後rotationが起こりやすいのかもしれません。
ちなみにGore-Tex法で使用されているレンズは主に、Bausch+LombのAkreosというレンズですが、こちらは本邦では未認可となっており、日本でGore-tex法が主流になることは当面なさそうです。
縫着か、強膜内固定か。
引き続き世界的な動向を見守っていきたいと思います。
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